本尊弥勒如来坐像の歴史

 

☆平成二十二年(2010年) 三月

 奈良県有形文化財(彫刻)に指定される。

 

☆平成二十四年(2012年) 九月
 国の重要文化財に指定される。

 

 

 

今より約千年前(平安時代)の作とみられ 制作は十世紀末から十一世紀初頭と推定されるが、開山(天文七年)より遡るがその間は不詳である。

 

 

 

 

像の高さ147.3cm、総高 286.7cm
右手 施無畏印、左手 与願印を結び五輪塔を持ち結跏趺坐する木像仏である。

 

施無畏印:右手を上げ、手を開いて指を伸ばし手のひらを見せる形。
人々に力を与えることを示す印

 

与願印:手のひらを上に向け、膝の上に置く形。(五輪塔を持つ)
人々の様々な願いをかなえる印

 

結跏趺坐:仏教における最も尊い坐り方。

 

奈良県文化財課の説によると像は楠の霊木の一木より造られ 丸顔の穏やかな表情をして耳朶に網目模様を刻む特徴を示している。

 

本像の姿形は如来としては一般的なものだが、耳朶に網目模様を刻むのは特異であり、膝前の衣文線を足首の下に収束させる表現もこの時期の作例には珍しい。

 

これらの特徴は本像とほぼ同時期の作と推定される法隆寺新堂の薬師三尊像(重文)の中尊像にも認められ、新堂像は「太子伝私記」の記述より本来は弥勒像である可能性が指摘されており注目される。

 

 

県内には平安後期の一木彫像が多数伝わるが、中でも弥勒寺本像は、脚部も共木で一材より彫出する手法で優れた希少な弥勒仏の大作として彫刻史上まれにない仏像と絶賛され高い価値を有するものと評価される。

 

 

如来坐像は数か所損傷あり国の重要文化財として、国と奈良県そして大和文化財団の補助を受け、平成二十五年度より約二年に渡り奈良県国立博物館、日本美術院国宝修理所に於いて復元となる。

 

 

 

 

 

 

弥勒寺本尊

 

名称:国の重要文化財 
   木造弥勒仏坐像(みろくぶつざぞう)

 

指定:平成24年9月6日

 

像高:147.3cm(4尺8寸6分)

 

品質:木造 (楠 一木造り 淡箔)

 

時代:平安時代(10世紀末〜11世紀初)