弥勒寺住職は車椅子で頑張っています

 

昭和17年6月15日生 

 

幼い時小児麻痺にかかり 右手と左足が不自由になり
平成21年には車椅子生活になりました。 

 

今は弥勒寺を守り本尊様にお仕えしています。

 

身体は不自由ですが、リハビリに通いながら、毎日弥勒様と共にお参りの方々と話をして毎日を過ごしています。

 

 

住職のひとりごと・・・

 

1歳4か月で小児麻痺になりましてなぁ。
右手左足が不自由になりました。

 

それでもやんちゃで川で遊んで流されたり友達と喧嘩したりと結構怪我が絶えなかったです。

 

生まれた家がお寺だったので高校卒業して親の後を継ぐべく本山に3年間修業に入りました。

 

学生時代はあまりお寺とか仏教に興味がなくて 跡を継ぐのにも少し抵抗があったんですが
まあ辞めるにしても勉強してからでも遅くないなと思い3年間修業しましたのや。

 

そしたら仏教が好きになりまして

 

「なんと素晴らしい弘法大師様の奥深い教え! これやったら 一生かけて勉強できる・・!」
と後を継ぐ決心をしたわけです。

 

寺は三重の田舎で その時は父が住職をしておりました。
だから私は副住職として勉め 又少し離れたところで 表具師として身を立てました。

 

 

27歳で結婚もし、家内と共にお寺と表具をしておりました。
最初は仕事も少なかったのですが、そのうち少しずつお得意さんも増え、子どもも二人授かり 仕事も順調で頑張っておりました。

 

そんな頃、知人から宮尾登美子さんへの屏風の仕事の依頼を受け、そのご縁から「美しきものへの巡礼」という本に載せてもらいました。

 

 

 

宮尾登美子さんは和服の似合う才色兼備でお心持ちの行き届く優しい方でした。
小説家というより女優さんの様でしたなぁ。

 

わたしの生き方を変えた出来事でもあり、表具師になって良かったと思いました。

 

 

 

まぁ当時はとにかく必死でお寺に表具にと働いておりました。

 

ですが段々足が言うことをきかなくなってきましてな。
そらそうや・・70年近くも片足で歩いてきたんやから無理ないですわな。

 

 

平成18年には脊椎官狭窄症になり手術をしましたが、あまり良くならず
益々痛み激しく 歩行困難になり 覚悟を決めたんですわ。

 

「このままでは 檀家の皆様に迷惑がかかる 何とかしなくては・・・」
そこでお寺を出る決心をしましてな。

 

知人にお寺の後継者を頼みましたんや 運よく良い方が入ってくれる事になりましてな。

 

 

そこで自分はこれからどうしようと思っていたら、知り合いから
「空いてるお寺があるから仏様を守って」
と言われ早速そのお寺を見に行きましたんや。
それがこの弥勒寺なんです。

 

 

家族で見に来たのはいいが まあ荒れ果てて境内は草で埋まっており

 

お堂は倒れ掛かり、つっかえ棒でかろうじて建っている状態やったんですわ。

 

 

 

 

 

痛む足をひきずり、傾いているお堂の隙間から中を覗いたら まあ驚いた!

 

大きな立派な仏様が奥の方でひっそりと座しておられるではないか!

 

 

堂内は埃で白く壁はひび割れとても見ていられない・・
わたしは家に帰るやいなや 家内に

 

「わし、あのお寺に行きたい!
あまりにも仏さんが可哀そうや
誰も守り手がない
自分が行ってお経あげ花を立てローソクをつけ仏さんを守りたい」

 

と頼みましたんや。

 

家内は「そんな身体ではあのお寺へ行くのは無理ですよ」
「私には義母のお世話もあるし、いつも一緒に居られないんですよ?」

 

 

そう言われたんですが わたしは尚、食いついたんや 

 

 

「わしが守らな 仏さんが可哀そうや
自分ができる最後の仕事や」と・・・・!

 

 

やっと家内も分かってくれまして  こうして粘り勝ちで弥勒寺に来ましたんや。

 

 

 

家族皆で草引きをし境内は少しずつ綺麗になっていきました。

 

 

 

色々なハプニングが起こりましたが そのたび弥勒さんが助けてくれて次から次に奇跡が起こりました。

 

その後は「重要文化財になるまで」に書いてある通りです。

 

 

 

 

少し前に頸椎と二度目の脊椎の大手術をしましてな。

 

これも弥勒さんに助けてもらったと思っております。

 

今は本堂も弥勒様も綺麗になり みなさんの御蔭で生かされております。

 

お堂も弥勒様も復活なされ わたしも復活しました。

 

今は車椅子生活ですが、弥勒さんに守られて頑張っています。

 

ここまで来れた事に感謝 家族に感謝 すべてに感謝です。 

 

 

 

千年もの永きにわたり 我々をお導きお守り下さった弥勒様。

 

これからも平穏無事をお願いし

 

郷土の宝、また 国の宝として

 

末永く私たちをお守り頂くことを願っています。

 

 

 

   

合掌